朝、上司に挨拶した。
返事が、いつもより少しだけ素っ気なかった。
それだけなのに、
「何か怒ってる?」
「昨日の仕事、まずかったかな」
「自分、何かした?」
と考え始めてしまう。
会議でも同じです。
自分の意見を言う前に、上司の表情を見る。
少し眉間にしわが寄っただけで、
「やっぱり言わない方がいいかな」
と引っ込める。
チャットを送ったあとも、
既読がついたか気になる。
返信が短ければ、
「怒ってるのかな」
と考える。
気づけば、
仕事そのものより、上司の機嫌を読むことに疲れている。
そんな状態になることがあります。
上司の顔色を見ること自体が、悪いわけではありません
職場で働いていれば、
相手の反応を見ることは必要です。
忙しそうなら、話しかけるタイミングを変える。
困っていそうなら、少し説明を足す。
相手に合わせて伝え方を変える。
これは普通のコミュニケーションです。
問題なのは、
「相手を見る」ことが「相手の機嫌を基準に行動する」ことへ変わってしまったときです。
たとえば、
「今、この話をするタイミングかな」
と考えるのは配慮です。
でも、
「機嫌が悪そうだから、必要な報告までやめておこう」
となると、少し違います。
上司の表情一つで、
言うべきことを言えなくなったり、
自分の考えを引っ込めたり、
必要以上に謝ったりする。
こうなると、
仕事の判断基準が、
「何をするべきか」ではなく、
「上司がどう反応するか」
になっていきます。
なぜ、そこまで上司の反応が気になるのか
上司は、
仕事を教える人でもあり、
指示を出す人でもあり、
場合によっては自分を評価する人でもあります。
だから、
同僚の機嫌よりも、
上司の機嫌の方が気になりやすいのは不思議ではありません。
特に一度、
強く怒られた経験があったり、
「なんでこんなことも分からないの?」
と言われたことがあったりすると、
次からは、
怒られないように先回りして相手を見るようになります。
上司が何も言っていなくても、
「今日は機嫌が悪そう」
「この話をしたら怒られるかも」
と予測する。
そうやって、
できるだけ失敗しないように、
できるだけ嫌われないように、
相手の反応を読み続けるようになります。
これはある意味、
自分を守ろうとして身につけた行動でもあります。
だから、
「気にしないようにしよう」
だけでは、なかなか変わりません。
上司の顔色を読む癖がつくと、仕事そのものが見えにくくなる
一番つらいのは、
相手の機嫌を読むことに慣れすぎると、
自分が本当はどう判断したかったのか分からなくなってくることです。
たとえば、
本当は、
「このスケジュールでは厳しいです」
と伝えたかった。
でも、
上司が忙しそうだから言わなかった。
本当は、
「ここが分からないので確認したい」
と思っていた。
でも、
嫌な顔をされたくなくて聞かなかった。
本当は、
会議で別の意見があった。
でも、
上司が否定しそうだったから黙った。
これを繰り返していると、
いつの間にか、
「自分はどう思うか」より「上司がどう思うか」
を先に考えるようになります。
そして後から、
「あのとき聞いておけばよかった」
「言っておけばよかった」
と自分を責める。
でも、
そこで必要なのは、
もっと上手に上司の機嫌を読むことではないと思います。
「事実」と「自分の予想」を分けてみる
上司の反応が気になったとき、
一度だけ考えてみてほしいことがあります。
それは本当に起きていることなのか。
それとも、
自分がそう思っているだけなのか。
たとえば、
「上司が怒っている」
と思ったとします。
でも、事実として分かっているのは、
「返信がいつもより短かった」
だけかもしれません。
そこから、
「怒っている」
「自分に不満がある」
「評価が下がったかもしれない」
まで考えているのは、
自分の予想です。
もちろん、
本当に怒っていることもあります。
でも、
分かっていないことまで確定させる必要はありません。
事実:返信が『了解』だけだった。
予想:自分に怒っている。
こうやって分けるだけでも、
頭の中で勝手に大きくなっていた不安が、
少し小さくなることがあります。
上司の機嫌ではなく、「自分の役割」に戻る
もう一つ、
私が大切だと思うのは、
判断に迷ったときに、
「上司はどう思うか」ではなく「今、自分がやるべきことは何か」
に戻ることです。
報告すべきことなら、報告する。
分からないことなら、確認する。
スケジュール的に難しいなら、相談する。
意見を求められたなら、自分の意見を伝える。
上司がそのとき機嫌がいいかどうかは、
完全にはコントロールできません。
でも、
自分が必要な仕事をしたかどうかは、
自分で選べます。
相手の反応を無視する必要はありません。
ただ、
相手の機嫌を、自分の仕事の正解にしなくていい。
ここは分けて考えていいと思います。
今日から一つだけやるなら
次に、
上司の顔色を見て何かをやめそうになったとき、
一度だけ自分に聞いてみてください。
「上司の機嫌が普通だったとしても、私は同じ判断をするだろうか?」
もし答えが、
「本当は報告した方がいい」
「本当は質問したい」
「本当は違う意見を伝えたい」
なのであれば、
それが自分の仕事としての判断なのかもしれません。
いきなり、
上司の顔色をまったく気にしない人になる必要はありません。
今日一回だけでも、
相手の反応より先に、
自分の判断を確認してみる。
それくらいからで十分です。
上司の機嫌まで、自分の仕事にしなくていい
真面目な人ほど、
職場の空気を悪くしないようにしたり、
上司を怒らせないようにしたり、
周囲が働きやすいように気を配ったりします。
それ自体は、
悪いことではありません。
でも、
上司が今日どんな気分なのかまで、
あなたが管理することはできません。
上司の機嫌が悪い日もある。
余裕がない日もある。
返事が短い日もある。
そのすべてを、
「自分が何かしたからかもしれない」
と引き受けなくてもいいと思います。
気を遣うことと、
相手の感情まで背負うことは違います。
仕事で必要なのは、
上司をずっと笑顔にしておくことではありません。
必要なことを伝えて、
分からないことを確認して、
自分の役割を果たすことです。
上司の顔色が気になったときこそ、
「今、自分がやるべき仕事は何だったっけ」
と戻ってみてください。
少しずつ、
上司の機嫌ではなく、
自分の判断で働ける時間が増えていくと思います。
次に読むなら
上司の顔色が気になる理由の一つに、
「また怒られるかもしれない」
という不安がある人もいると思います。
そんな人は次に、
「上司に怒られた日の夜に読む記事」
を読んでみてください。
怒られた出来事と、自分自身の価値を切り離して考えるための記事です。
